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2007/01/01 (Mon) 白い月  ・・・しろいつき・・・

凍てつく冬の帰り道
白い月を見上げた

薄氷のように夜空に貼り付いた月は
今にもパリンと割れそうな程冷たく
疎らな星も尚更に
まるで廃墟の写真のようだ

いつのまにか影は重みを失い
自分の足音すら消えてしまった
遠く団地の窓の明かりも冷えて
光すらも固まって
世界から生命が消え失せた

白い月に導かれ
私は孤独の容器となる

ひとつで生まれ
ひとつで死んでゆく
命の孤高を深々と受け止める

今までも幾人もが見たであろう
別世界の端を覗き見て
己が孤独に感嘆し
命の待つ我が家に帰る

白い月の下で


*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。
 
 

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2007/01/15 (Mon) 荒地に立つおんな達へ

おんな達よ
しなやかに目覚めよ
老いに向う事を人生と呼ぶなら
人生はもっと楽しんで良いはず
目を瞑ってしまってはいけない

平均寿命は延び続け
長き時を生きるのに
未だ花の命は短いまま
その何倍もの歳月を
喪失感で過ごすのか
若さに執着し時を恐れて
おびえながら生きるのか

おんな達よ
しなやかに進化せよ
老いは美しい
あなたの歩んだ道そのものだ
長い年月をかけて大事に踏み馴らした道は
その長さにこそ美しさの価値がある

若さの呪縛から逃れろ
目元のシワの深さは
幸せの微笑みの数
顎の下のたるみの重さは
受容の器だ
光にも似て頭髪は白く
節が太くなって荒れた手は
なんと愛らしいこと
あなたの善の証だ


人生のゴールは遠く
まだはるか遠く
おんなの美しさはそこにある
胸を張って歩け
しなやかに軽やかに
あなたはまだ美しさへ向う途中だ


*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/02/01 (Thu) 夜明け前・・・よあけまえ・・・

新聞配達のバイクの音で
夜の終わりの近さを知る

夜と昼の境目が 酷く曖昧な時季は
闇の時が妙に長くて 抜け出すのが嫌になる

エセ「人類の最後の一人」の孤独感
シンと冷え 固まった空気
切り離された空間 
この静けさが好きだ

目は翳み 脳は痺れ 
口は乾き 肌は艶を失う
ダメな人間になれる 灰色な一瞬が愛しい

心の一部が反乱している
理性と戦っている
ああ 私は大人に成りたくなかったんだな

オトナナンテ ツマンナイ
長く封印した 陳腐な言葉を呟いてみる 
大人に戻る夜明けの一瞬前




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/02/15 (Thu) 葬る ・・・おくる・・・

貴女の横たわる場所はこの世界のどこより
      清潔で華やかで美しい
 そして白く高潔に演出された静寂な空間

     
  すっきりと切り出した白木の棺の前で 
 見ることが出来なかった貴女の歩みを想う

    花嫁衣裳の如き経帷子に 
      初夜の若き肌を想う

     菊と百合と蘭の饗宴に 
  笑い転げる乙女の清々しさを想う
 
 自然で上手な死化粧のピンクのルージュに
     青春の初々しさを想う

       
  苦しみから解き放たれた貴女は
      あまりに美しくて
   病院のベッドの上よりずっと
   幸せに見えてしまうから困る
      つい嬉しくなって
       良かったねぇ
     綺麗だねと呟いてしまう
    
      

時が来て貴女の肉体との別離が現実になる
薄情な私は悲しさに復讐される
抜け殻と理解していても
確かな物が無くなってしまう事の寂しさ
貴女の姿をもう見ることが
出来無くなるのがこんなに辛い
   
重く熱い鉄の扉の前で
貴女の人生の重さを想う
貴女の微笑みと情のこもった言葉を想う
貴女の握ってくれた手の暖かさを想う
貴女と共有できた時間の長さと
親不孝の長さを今更に想う

感謝と愛しさと少しの後悔で
私は貴女を おくる




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/03/01 (Thu) 桜路・・・さくらみち・・・

花まだ早き桜路
五分咲きの空は肌寒く
隣を歩く男の抜け殻が
すかすかと音を立てる

二十五年も一緒に歩き
楽しんだ桜路
傍らの男の中身は
いつのまに空になったのか
ただ骸骨に張り付いた
微笑みさえが嘘臭い
花冷えに凍ってしまった悲しさを
溢さぬように目を伏せる

もうこの男と桜路は歩くまい
五分咲きの桜は淋しいけれど
満開の桜はもっと淋しい
青空に燃える薄紅は美しすぎて
私の中に悲しみを詰め込む
夜空に染みる薄紅は妖しすぎて
私はひどく薄情になる




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/04/01 (Sun) 春の声・・・はるのこえ・・・

まだ見ぬ君へ・・・エールを送る

つむじ風が吹き荒れた後
春の花の残り香に乗って
近隣の風呂場から響く幼子の泣き声

まだ見ぬ君よ
髪を洗うのがそんなに嫌か
頭からお湯をかぶった君の
怒りの抗議が目に浮かぶ

まあるい顔の真ん中に
ブラックホールを造ったら
そうだ思いっきり吠えるが良い

波動砲をぶっ放せ
遠慮なんているもんか
訴えろ 君は正義だ
泣き喚け 君の権利だ
分別なんて踏み潰せ

小っさい大人の小さい常識
君にはまだまだ必要無い
君より素直な存在も無い
隣家の親父が怒鳴り込んでも
君の泣き声にかなうもんか

お風呂は宇宙 君は太陽
地球の海の替わりのお湯で
陽炎みたいな湯気の中
日本のどんより濁った空気を
エネルギーで切り開け

不況なんて関係ないさ
君の未来は輝いてる
風呂場の電気はピカピカだ




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/04/15 (Sun) 四月の詩・・・しがつのうた

ビルの直線で切り取られ 歪んだ形の青空が

それでも妙に爽やかで 悲しくなる4月の午後

樹木は命の色になり そこら中でブツブツと

機械で出来た車さえ 光の装飾を身にまとう

人は 狂気を防護から 攻撃に変えて進むのだ

ああ、石の街でも 夏の兆しが動めいている




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/05/01 (Tue) 海になる・・・うみになる

私は死んだら海になる

灰になった私は 
海の細胞のひとつひとつに滲みとおり
人間の出す廃棄物を 一生懸命浄化する
私が人間であった事の罰に
プランクトンになり 魚になり
短い命で浄化しよう
奇形になり 犠牲になり 長い年月をかけて

時々は警告しよう
少しだけ人間に戻してあげる
文明の残骸と汚物をほんの少しだけ
浄化しきれない無念と共に
自然に帰した 私の意志を
誰かが気付いてくれる様に




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/05/15 (Tue) 戦友へ ・・・ともへ・・・

 何時になったら自分の為に泣けるのか・・・・

そんな言葉がこぼれ落ちるほど
貴女は悲しみで溢れてしまった
愛する人達から隠す為
悲しみはすべて呑み込んでしまったから

 もう直ぐ髪が抜けるからウィッグを買ったの
 被ってみたけど誰も気付かなかった・・・・

貴女は泣く代わりに笑うから 
私も一緒に笑ってみる
子供達のあれこれを楽しげに告げる
未来への期待を 背骨に添えて
貴女は辛うじて立っている

普通に歳を重ねていても 
枯れていくのが憂鬱な季節に
大切な物を失う心の傷を
理性で隠し切れないのは当たり前
女である事の悲しい証明

輝く時間を共に過ごし 
怖い物知らずだった貴女と私
いつでも未来は明るくて
自由と愛と幸せは
努力で手に出来る筈だった

今ではお互いに傷ついて 
ズタボロのポンコツだけど
不安の中でも微笑む貴女は 
傷だらけでも 美しい戦士だ

貴女の悲しさをすべて 
受け止める程の器はないが
哀れんだりしない大きさでいたい

弱音を吐いても 臆病でも 
たとえ泣いても 格好悪くても
貴女は私の誇れる戦友だから
昔よりもずっと・・・




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/06/01 (Fri) 励ましの詩 ・・・はげましのうた・・・

若人よ がんばれよ


疲れた身体が妙に重い
そう気付いたら急に裏切られる
リズムを刻んで勝手に闇を蹴る足が
別の生き物のようで
どこに向っているのかわからないから
ぼんやりと地面を見てしまう

頭の中でエコーする言葉が
何度も何度も心をえぐるけど
えぐられた心を埋める為
呪詛してみたり 励ましてみたり
責任転嫁してみたり 嘲ったり

それでも容赦無く跳ね返り
暴走しまくりのお言葉は
計らずも零れてしまった自信て奴を
赤面に変えて引っ張り出す

そんな夜は無数にある

忘れようと思い酒を飲んでみても
結局悩みの場所に行き着く
それはもう壊れたプレイヤーだね

もとより謙虚のつもりの心は
実は自尊心の裏返しで
貴方は自分で思うより自信家だ

でも それでいい

それでも傷ついた動物が
薄暗い一角で傷を癒す為
じっと身体を丸めるように
この暗い夜道を
永遠に歩いているつもりで
気付いたら玄関で鍵を回している

でも それでいい
帰って来ればいい

そんな夜を幾度も越えて
強くなったらそれでいい
そんな夜を幾度も彷徨い
優しくなったらそれでいい




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/06/15 (Fri) ドブネズミのように 

大きなドブネズミが
陽を浴びて微睡んでいた
艶も失い傷だらけでボロボロで
目を閉じて動かぬ様は
戦場で死にゆく老兵に見えた

15年も前の数秒が
ゴミ箱の中の彼の一瞬が
私の中で永遠の映像に変わる
私に「生きる」を教えてくれる

ドブネズミのように真摯に生きたい

生まれる事の意味がそのまま
「生きる」事
忌み嫌われる動物さえも
「生きる」にシンプルな彼らは
時に神々しく輝いている

幸せとか意味とか理由とか
「生きる」に色々飾りをぶら下げる
人間の頭上のはるか遠く
彼らはもっと道理に近い存在
きっと神はシンプルなんだ

迷い悩む私を引き戻してくれる彼は
ゴミ袋の上で陽を浴びて人生を語る
プライドとか見栄とか
そんなものはいらない
生きる事が目的なのだ
もうとっくに生を終えてなお語りかける

ドブネズミのように真摯に生きたい




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/07/01 (Sun) 満天 ・・・まんてん・・・

満天の青に抱かれ
野山を走り 海で遊んだ
満天の星に抱かれ
青春に苛立ち 未来を夢見た

都会で 得たものは
自由と刺激と 小さな空の欠片
晴れた日さえ 雲の溶けた青は鈍く
曇りの夜にいたっては 
ネオンが染み出たピンク色
笑ってしまう程 有り得ない空色も 
雑線で切り取られた 痛々しさも気付かず
若さの額装で輝いて 太陽ほども眩しかった

金ぴかの額縁は とうに剥げ落ち
変わらず 細切れの空を仰ぎ見る
不眠症の街の 顔色は益々悪く
いよいよ病人の体だ

ああ 本当の空を見に行こう
小さな空の欠片は 満天に続く
青は深く 星は冴え冴えと
ただ頭上に広がる 満天の空へ

満天の青に抱かれ 
かつて私は笑い
満天の星に抱かれ 
かつて私は泣いた

今 満天の青をいだき
満天の星を抱きしめよう



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/07/15 (Sun) 夏の戦い方 ・・・なつのたたかいかた・・・

裏切りの夏が来る


ギラギラと太陽が照りつける
まんまと水分を吸い上げられる
すでに半渇きの脳に
まともな思考を期待はするな

時に厚い雲で蓋をして
遠赤外線で蒸し焼きとは
バリエーションも心憎い
クーラーで弱った人間を打ちのめし
排出した熱を増幅し
濃い血液を送り込む
すでに人類は虫の息

そう 人間なんか
働いたって碌な事にならない
地球にとっても
宇宙にとっても
いまだかつて役立った事は無い
害虫の如きモノ
裏切ったのは我々か?

いつだって夏は正しい
正当な裏切りだ

だから逃げ出せ
這ってでも動ける内に

コンクリートの要塞は危ない
太陽の狙い撃ちだ
密かに抜け出し自然に紛れろ
誰にも見つかるな
時に豪雨で命を洗え
海に潜り
草に潜み
密林の葉陰でやり過ごせ

裏切りの夏が来る
太陽を武器にして
手練れた夏が襲い来る



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/08/01 (Wed) 夏の朝 ・・・なつのあさ・・・

まだ夜も明けきらぬほどの 
薄暗い朝の光に
待ちわびた様に響く蝉の声

鳥のさえずりさえ打ち砕く程に
一心不乱に叫ぶ恋の歌

恋しい恋しい
恋しい恋しい‥と

私は闇の残った部屋で
眠りにしがみつく一時に
その素直さに心打たれる

なんと生きる事に忠実な彼らよ


疑る事も無く 
地中の長き時をこなし
地上のほんの数日で一生を終える

恋の叫びの大きさは
なんと生きる事の力強さよ



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/08/15 (Wed) 天上の鐘 ・・・てんじょうのかね・・・

遙か高く
青き空から降るものは
人間の欲望の塊や
人殺しの道具では無い
祝福の鐘の音であるを願う
平和な夏に肌を焼かれ
労働で疲弊した体に滲み込む
只一服の涼風であることを


夕暮れの
光織り成す空から降るものは
病める人も悲しき人も
幸せな人にも等しくそそぐ
祝福の鐘の音であるを願う
絶望という名の空虚に
侵された心にも響く
何卒癒しの音であることを

今 天上の鐘の鳴る
祝福の鐘の降る



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/09/01 (Sat) 青 ・・・あお・・・

深き青に何を見る
 まして際立つ稜線の鋭さか
 悠と風切る鳶の翼か
 色散りばめた中に残る 錆色の立ち木か
 掠れた筆跡の雲の妙か

青の深さに何想う
 封じた言葉の塊か
 振り返った道の長さか
 胸の真ん中に空いた穴の大きさか
 ほのかに灯る先への希望か

塊は種となり 足跡に咲く花となる
消えない炎は 転ばぬ歩みの助けになろう
生きる力は 腹から生まれ
厚くなった足裏で 青い大地を踏みしめる 



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/09/15 (Sat) 夏の臨終 ・・・なつのりんじゅう・・・

水平線のずっと先で
泡立つ波に砕けた夏の煌きは
バスの中の隣人のアクビにのんびりと乗って
猫のざらざらの舌でこそげ取られ
水着の跡と共に消えて行く

それなりに頑固な夏も
運動会の花火で打ち上げられて
太鼓で追い立てられては
長く真っ直ぐな飛行機雲の上を
無邪気に行進していく

百舌が冬を呼ぶより前に
金色の稲穂で撫でられ
ヘレン・メリルの切ない歌声に慰められ
庭の落ち葉の煙で燻されて
ゆらゆらとゆらゆらと登っていく

ほら 最後の欠片が
すでに一人ぼっちになったコオロギの
凍えた恋の音と共に
孤独に昇天する

今 夏が逝った



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/10/01 (Mon) 竜の寝床 ・・・りゅうのねどこ・・・

腹の中には竜が棲む
「おんな」という竜がいる
まあるくなったまどろみの中
時折りほうーと炎を吹けば
小さな熱が身体を駆け抜け
汗となって迸る
日常の中で噴火する

寝言の如き吐息でも
種火は子宮に燻って
微量のマグマが血管をうねる
滞らないように少しづつ
氷を齧り添えた手で冷やす
今日は背骨が燃えている
昨日は鳩尾だったけど
毛穴から出る水蒸気が
蜃気楼で過去を映し出している

腹に棲む竜は
残酷で傲慢で衝動的で
愛情深き支配者だから
一旦眠りに付いたからには
長く安らかに眠れるように
私は寝床を整える奴隷だ
そっと静かに
起き出さぬよう
暴れぬよう
そおっと祈ってお茶を飲む



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/10/15 (Mon) 山景色 ・・・やまげしき・・・

秋だから心を登ってみる
虚しき風を頬に受け
手入れのしていない深き樹海をかき泳ぎ
胸の奥に隠した火口を覗き見る

休火山であるものか
沸々と水蒸気が噴き出ているではないか
そろそろ穏やかな日々を暮らせるはずの
一見緑に隠された岩肌の中に
感情の奔流はすさましいではないか

冷えてはいなかった
マグマは以前より尚激しく
深層を脈々と流れている

これを業というのだな

地表を侵略し平穏を飲み込み
いっそ溢れる喜びに耐え
深みへと潜んでゆくいじらしさよ

秋晴れの空は美しく淋しい
足裏に感じるは
猫の咽笛に似た静かなる地鳴り



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/11/01 (Thu) 木枯らし ・・・こがらし・・・

小春日和が続いた後に
突然吹き荒れる 木枯らし
今まであまりに 穏やかだったので 
すっかり忘れていた 冬の始まり

空ろな心の 緩慢な動きの中
こぼれる言葉は 自嘲の呟き
「何度も同じ目にあったではないか」
わかっている 人を哂ってはいけない
せめて自分を哂うぐらいは 許して欲しい

ふと気付く 今の自分は般若の顔だ
鬱々とした心は 顔を醜く老けさせる
憂い顔は 若さの特権だから 
悲しいが すでに権利は持ち得ない
悩む事さえ叶わない そんな自分をまた哂う

哂いを無理矢理 笑みに変えて
暗い瞳は 化粧で装う 
少し長く生きた女の これが戦い方だ

走れなくても まだ歩ける
今立ち止まれば 進めなくなる
それぐらいは 知っている
もう一山 登れるか? 
四つん這いなら どうにかなる筈

木枯らしと 降り出した冷たい雨が 
心に妙に符合して 
気恥ずかしくなる 冬の気配




*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/11/15 (Thu) 浮浪の人 ・・・ほーむれす・・・

凍える風の中
うずくまりうな垂れる姿は
汚れと臭気を鎧にして
何を守っているのか

責任から逃げ
義務から逃げ
自由からも逃げてしまった

家庭を捨て
社会を捨て
存在すら捨ててしまった

痩せて丸めた 背中と 
生活染みた 多くの荷物
老いの不安を 彷徨う瞳で
囲っているのは 一つの命だ

命を蔑んではいけない
命を哀れんではならない

雑踏の中では 彼も私も同じ
誰も 気に止めず
誰もが 見えない振りをする
ただ 街の景色のひとつだ
ただ ひとつの命だ



*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/12/01 (Sat) イルミネーション 

 道で拾ったすべすべの小石
 手の中で光る蛍
 袖口が鼻水でテカテカしてる男の子
 バケツの中で厚く凍ったまあるい氷

忘れかけてた思い出が

 顔だけで憧れた先輩
 親友との案外深刻なケンカ
 テストの裏側に書いた落書き
 何故だか集めていた香りのついた消しゴム

宝石の様に輝きながら

 初めて購入した化粧品
 成人式の振袖やスーツ
 片方だけ失くしたイヤリング
 不安を上回る大きな夢

高く暗い夜空に冴えて

 名前の刻まれた指輪
 守らなければならない小さい手
 家族で囲む食卓

 愛やら夢やら妬みやら
 希望やら感動やら挫折やら
 笑い声やら悲しみの涙やら


華やかに 賑やかに 
そして時には淋しげに
キラキラと 瞬いている
一瞬をすべて結晶にして
溢れんばかりに 流れるように
キラキラと 煌いている





*2010年 製本
 登録日時は便宜上のもので、詩の製作日とは無関係です。

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2007/12/15 (Sat) 出発ち ・・・たびだち・・・

夜空に輝く 遠き星の如く
到達点は 遥か彼方なり

我齢には 目眩がする程
心にきつき事なれど
やらなければならぬ事也
逃げ出すわけにはいかぬ

我来た道は楽しけれど
気が付けば 足跡無残也
後に来る者の為
道を均すは 我責任

花火の後始末は 侘しきなれど
子供の笑顔に 勝る物無し
輝きし日々の残骸を
拾って歩くも 我勤め

足跡を気にして歩めば 進めまい
楽しきを捨てて歩めば 笑えまい
前だけを見て 歩んだ日々に
後悔はすまいと 誓うなれど
我の甘さに 唇を噛む

残骸を拾い 足跡を埋め戻す
来し道の長さが 行く道の険しさよ
道の長さに 心が揺れる
負う荷の重さに 膝が軋む
ああ楽したいと 弱さが覗く

到達点は 遥か遠く
夜空に輝く 星の如し

弱きを振り捨て さあ出発ちだ
輝く一個の 星を目指して




*2010年 製本
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2007/12/31 (Mon) 大晦日 ・・・おおみそか・・・

行く年の最後の日は
流れる時間をとっ捕まえて
よっこらせよこっらせと
錆びた関節のネジを巻く

それ急げ急げ
ほこりを見つけ
汚れを磨き
白く白く
物を片付け
ゴミを捨て
広く広く

新しい年の神様が
気持ち良くいられるように
幸せを沢山置いてくださるように

心を清め
玄関を飾り
体を清め
馳走を盛り

きりりと新年を迎える




*2010年 製本
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